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解禁の休眠

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3月の解禁時期に渓流に勇んで行かなくなってからもう数年が経った。

今年も3月の解禁は到来したが、まだどこの遊漁券も購入していない。

関東にいると3月に渓流釣りに行こうという気持ちにならないのは、何故だろうか。やはり今現在、私が一番釣りに行っている県域においては、雪代がひどいので釣りにならないためだろうと思うのだが、それ以上に昨年10月から渓流の禁漁であまり釣りをしなくなり、釣りをする習慣自体が体から抜けてしまっているせいもかなりある。

きっと若い時ほど釣りに対して熱意が無くなったのだろう。

今は釣れるシーズンに楽しい釣りが出来れば良い、という風に思うようになってしまった。

釣れようが釣れまいが、関係なしに週末、ただ釣り場に行きたい、という感覚はもはやない。年齢相応に枯れてきたのだろう。

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それでも、初夏の午後、雷鳴を聞きながら、木立の中に隠れて、ただじっと雷雲が過ぎるのを待っていた、あの感じを思い出す。こんな事は釣りをしていなければ絶対やらないことだろう。大抵、そんな時はたいして釣れていないことが多いのだが、それでもその時のことを思い出すと、やはり今年も釣りに行きたいと思ってしまう。

楽しい時だけ釣りをすればいいと言いながら、やはり心に残っているのはそういった釣りとは直接関係の無い、剥き出しの自然を感じた時である。

大物をキャッチして嬉しいという記憶は直に失ってしまうが、車までの戻り路、陽が傾いた田舎道をトボトボと歩いた記憶は、なんとも言えない余韻として残っている。

もはや過去の熱意に満ちた釣りの時間は二度と訪れないのかもしれない。でも、未だに釣竿を携えて日本の辺境を彷徨う、そんな釣り旅がしてみたいのだ。

202603



# by rororon3rd | 2026-03-09 21:18 | 日記 | Comments(0)

大きなツキノワグマ

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近年は熊の問題が大きな話題になることが非常に多いが、釣りにおいてもこの問題は無視できない。

熊の出没が釣り人の行動に大きな影響を与えている。当然ながらその中でも渓流釣りはその最たるもので、熊との遭遇による事故等がニュースに上がる。

私は15年位渓流釣りをしているが、熊と遭遇した事は二回しかない。日本に住む野生動物の中でも熊の生息数は非常に少なく、また用心深いため、人前に姿を現す事は、かつては稀だったのだが、近年習性等の変化によって、町場においても熊が出没して人が襲われるような時代になっている。

渓流釣りをしている釣り人はかなり熊に関しては気にしており、今まで本州の渓流では見ることがなかった熊スプレーを携帯している姿も散見するようになった。

私自身と言えば、北海道で釣るときは熊対策に熊スプレーは必ず携帯しているのだが、本州での釣りにおいては熊スプレーを持ち出したことがなかった。

ツキノワグマはヒグマに比べて体が小さく、また人間への傷害行動も少ないと思っていたからだ。しかし、近年のデータによれば、ツキノワグマの人間への攻撃は増えており、件数だけで見るとヒグマを凌ぐような数になってきている。

だが、私が実際に見た事のあるツキノワグマは子犬程度の子グマだったので、個人的な感覚としては全く危機感を感じていなかった。しかし、今回の釣行で私のその考え方は根底から覆された。


今までも釣りに入っていた馴染みの支流に今年何度目かの釣行をした。

今回は以前に釣った場所よりさらに上流に向かった。予想に反して、上流域はその下流より平坦な地形になっていた。

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半時間ほど釣り上がると平地の中をゆっくり流れている場所が続いた。以前、出会った林業の方が言っていた廃村になった集落跡だろう。

今は樹木がかなり生茂り、建物も残っていなかった。住民が居なくなってから50年近く経っているのかもしれない。ただ、住居を囲んでいた石垣が少し残っており、川にかかる橋付近は往時の集落の雰囲気を残していた。

上流域に来ているのに全く雰囲気がないので、少し落胆しながら釣りを続けた。

魚はそれなりにいるようだが、浅い水深と開けた場所のせいで、魚の警戒心は強く、なかなか鉤にかかってくる魚はいなかった。

枝流との出合いで本流側を進み、そろそろ渓流らしくなってくるか、と期待したところで、建物一軒建っていた。

住宅のような建物だったが、この辺りは電線も引かれていない。今は作業屋として残っているのかもしれない。それほど荒廃していない建物だったので、近年までは間違いなく人が使っていたものと思われた。

山中で思わぬモノを見たので、これでさらに期待度は下がった。

だが、そんな家の前の小さな淵でも、イワナは反応した。


ポツポツとイワナを拾い釣りしながら、さらに上流を目指す。

建物を過ぎて100メートルほど上った所でだった。倒木越しにポイントにフライを投げ込んでいると、前触れもなしに50メートル先にツキノワグマが現れた。今まで見たことがないほど大きなツキノワグマだった。

体長はシェパード位だろうか。体重は100キロをゆうに超えているだろう。

背中にゾワッとしたものが走って、思わず逃げ出しそうになったが、背中を見せるのは危険なので熊の方に向き直った。

熊は私を一顧だにせず、そのまま沢を渡って、右岸の山の中に消えて行った。

慌てる事もなく、ゆったりとした足取りだった。

今回の釣りはここで辞めることにした。

その場で左岸の崖を這い上がって、林道に戻ると手が少し震えていた。

人間一人が頑張ったところでどうにかすることができる相手ではなかった。

自分の認識の甘さを痛感し、今後は本州の渓流釣りであっても熊スプレーを携帯しなければならない、と強く決意した。

202509



# by rororon3rd | 2026-03-02 21:02 | トラウト釣行(東北地方) | Comments(0)

林道の彼方

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前日の夕方、釣りを終えて隣町に向かおうとした県道が通行止だったため、たまたま脇にあった未舗装の林道に入り込んでしまった。

ダート林道走りながら、そのうち舗装路に変わることを期待したが、一時間以上砂利道が続いた。

ちょうど日没の時間に差し掛かっており、ただでさえ枝や石がたくさん落ちているので気を遣わないといけのに、すっかり暗くなってしまった。木々に覆われた林道はヘッドライト以外灯りは全くない真の闇に包まれた。

どうもこの林道は山を越えて、北側の離れた町の方まで続いているらしいのだが、山頂付近でもたくさん落石していて十分走り辛いのに、峠を越えて下りになると、さらに道が荒れていた。道路の中ほどまで、背の高い草が生えてるような箇所もあった。一度は腕位の太さの枝が道を塞ぐように落ちていた。仕方なく車を降りて手でどかして進まなければならないような始末だった。ここを通る車両は殆どないのだろう。

怖いのは物だけではなく、動物もそうだった。鹿だけでも4回遭遇した。その内3回はカモシカだった。これだけで人生のカモシカ遭遇回数を超えた。


長い時間かかって、やっと林道を通り抜けた先は、私がよく釣りに行ってる川の上流だった。

いつも通っていた川沿いの林道は、未舗装で路面が荒れているため、あまり上流の方まで登ったことはなく、未舗装部分を3キロ程度上がったことしかなかったのだが、期せずその林道の始点から終点まで全て走りきってしまった。

本日は違う川へ釣りに行くつもりだったが、偶然とは言え、いつも来てる川に迷い込んでしまったので、この川に呼ばれているのだ、と思い直して、この川を釣り上がることとした。


前回は7月にも来ており、かなりスレていてフライラインを見ただけで魚が逃げ出すような川だった。

ただ、魚影は濃く、尺物の魚もたくさん見ることが出来た。

9月のこの時期、魚はさらにスレて厳しい状況が想像された。午前9時頃から釣り始めたのだが、やはり魚の反応は悪い。水も減っており、減水気味だった。

小魚の戯れのような反応はたまに出ていた。一度か二度、鉤がかりして10センチ足らずの小魚が飛んできたこともあった。当初、何も反応がないかもしれない、と思っていたので、少しでも反応があるだけマシだ、と思って釣り続けた。


一時間ほど経った頃、15センチ位の何とかヤマメと言えるような魚が釣れた。

1尾釣れても安心は出来なかった。その後すぐに続いて釣れてくるような魚はいなかった。

一時間半が経ち、二時間が経過した頃になってくると連続ではないが、魚はコンスタントに釣れるようになった。

ある所からは、ヤマメの反応はほとんどなくなりイワナだけになった。イワナも最初は気難しくて、なかなか出てこなかったのだが、広い淵の真ん中に遠投して、フライを放置しておくと下から喰い上がってくるパターンを見つけた。このパターンで3尾釣れた。型は最大でも20センチほどだったので大きくはなかったが、この状況でイワナをキャッチすることが出来たのはラッキーだった。

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その後も一時間ほど釣り上がった。

昨夜通った脇の林道を何台もの車が降りて来る。想像以上にこの道を通る人が多い。今日が土曜日だというのもあるのだろう。

釣り人ばかりやって来る訳ではないのは、きのこ採りシーズンに入っていたというのもあったのかもしれない。とにかく川で釣りをしていると山の中だというのに多くの車が行き来していた。

最終的には小さい魚も含めてヤマメ5尾、イワナ5尾を釣った。合わせて10尾も釣ったのだから釣れなかったということはないのだが、やはり内容的にはかなり厳しいものがあった。爆釣という感じは全くしなかった。

ただ曇りがちではあるが、たまに晴れ間が見えた時の流れの美しさは格別だった。

紅葉はほとんど始まっていなかったが、秋を思わせる涼しい風が吹く中で、釣りをする事ができて、しみじみと楽しいと思えた。

簡単に釣れないことが、逆によかったのかもしれない。

少しチャレンジャブルな方が釣りとしては緊張感があって面白い。それに気候が良いのなら言うことなしだろう。

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帰り途、山里では稲の刈入れが進んでいた。この辺りは、刈りっ取った稲束を『さがり(※竹で組んだ稲藁を陽光で乾燥させるための干し台)』にかけている農家が多かった。もう私の実家あたりではほとんど見ることのない風景だが、『さがり』に家族総出で稲藁をかけている光景を見て、遠い昔の父母の姿を思い出した。

静かな秋の日差しの中に、いよいよ迫った渓流シーズンの終わりを思った。

202509



# by rororon3rd | 2026-02-23 20:14 | トラウト釣行(東北地方) | Comments(0)

頭上の先行者

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午後も県道の補修工事によって通行止になっている先のポイントに入っていた。

この辺の渓流の人口密度といったら話にならないくらい低い。なのに今日も先行者がいる。頭上の道路をフィッシングベストにウェーダーを履いた完全装備のオッサンが、上流側から降りてきた。

うんざりして天を仰ぐが、午後2時を廻っている時刻である。今さら釣り場を変えることはできない。また変えたところでそこにも先行者が居ないとも限らない。ボウズ覚悟でこの沢で釣り続けた。

先行者が踏んだポイントではフライへの反応は皆無になる事が多い。しかし、今回は様子が違って魚の反応はあった。ただ、相変わらずフッキングする事が出来ない。

流す毛鉤にドラッグがかかっているのと、合わせが遅いせいだ。あと先行者の影響で魚がナーバスになっているのもプラスされているのかもしれない。釣れない要因はいくつも想起されるので、いつまでたっても根治しない病のようだ。


半時間ほどして、やっと小さなヤマメが釣れた。型は17センチほどで、午前中に釣ったポイントのレギュラーサイズと同じだった。

その後もパラパラと散発的にイワナとヤマメが釣れた。

フッキングしないバイトでは派手に飛沫を飛ばすのに、釣れる時は控えめなカメラには映らないようなバイトが多い。これも未だに解明できないフライフィッシングの謎である。

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2時間半ほど釣り上がり、締めのヤマメをキャッチして釣りを終えた。

下流側の県道ではまだ工事中で通行止めが続いている。

川の源流方向に向かい、山を越えて、隣町へ抜けることにした。

谷には山影が広がり始めていた。

(202509)




# by rororon3rd | 2026-02-16 20:11 | トラウト釣行(東北地方) | Comments(0)

大イワナの谷

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和歌山で生まれ育ったので、イワナのことは長い間よく分からないでいた。

よく物語やエッセイ等ではイワナのその独特の風貌であったり、剽軽な性質のことが語られていて、とても面白い魚なのだということは知っていた。だけど、和歌山にいるアマゴと比べて、特別面白い存在だということについては全く実感出来ないでいた。

その奇妙な性格や行動は書かれている文書や漫画の上だけのことであって、本物はそうじゃないという気持ちを長らく持っていた。

フライフィッシングを始めたのは関東に出てきた15年ほど前からだが、それでも私とイワナの距離はすぐには埋まらなかった。

釣りに行くのはヤマメ釣り場が多く、イワナを釣るにはもっと山奥まで行く必要があったため、なかなかその姿を見ることが出来なかった。関東周辺で釣りをしながらもイワナは未だ幻の魚だったのである。


最初にイワナが定期的に釣れ始めたのは新潟だった。新潟の細い沢を釣り上がっていくと、ヤマメからイワナに対象魚が変わることが多い。ただ、そこで釣ったイワナが特別奇妙な魚だという認識はなかった。はっきり言ってしまうとヤマメとイワナは私の中では、ほとんど同じような魚だった。

そのイメージが変わったのは福島で釣りを始めた頃だった。

薄暗い渓流を釣り上がり、私が流れの中で立ち止まってカロリーメイトを食べていた時だった。口元からこぼれたカロリーメイトの欠片にイワナが寄ってきて、それを食べた。

私の足のすぐ近くだったのに、イワナは特に恐れるでもなく、無邪気にカロリーメイトの欠片を食べていた。

さっきまで私がそのポイントで同族を釣っていたにも関わらず、その小さなイワナは躊躇することなく、食事を貪っていた。

変わった魚だと思った。


その後も時折、イワナのそういった姿を釣り場で見かけることがあった。

変に神経質でなかなか釣れないこともあれば、突然ドラッグがかかりまくったフライに喰ってきたりもする。気まぐれな魚だった。

ヤマメのような鋭い容貌というより、人懐っこい丸っとした顔をしていた。いつからかイワナを釣ることが楽しくなってきた。

ヤマメ釣りとは違い、イワナの釣りは『かくれんぼ』のようだった。いや『達磨さんが転んだ』に一番近いのかもしれない。

イワナに気付かれないように近付き、フライをポトンッと水面に落とすと、うっかりイワナが食い付いてしまうという遊戯だった。

呑気さと神経質さが同居するイワナの挙動が、とても愛嬌に溢れているように感じた。

今だに、ヤマメと比べてイワナが圧倒的に好きだ、という訳ではないのだが、イワナは私の中で特別な釣りの対象魚の一つになっている。

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今回行ったのはイーハトーブの山の中で、何度も通っている川だったのだが、初めて40センチほどの大イワナを見かけた。

そいつは産卵のために浅い砂礫の川底に定位していた。近くにはペアになるオスかメスか分からないが、もう一尾中型のイワナが居て、今まさに産卵をしようとしているようだった。

私が来たので驚いて一度は逃げたが、それでも少し上の深場に留まって、私が2メートルまで近付いても動こうとしなかった。

産卵するという本能が強いのだろう。私は手を伸ばせば届きそうなほど近寄ったが、それ以上その大イワナの邪魔をすることはしなかった。否、出来なかった。

その大イワナが繁殖しようとしているのを邪魔するのはひどく間違っているように感じられた。

それとも日頃見られないほど大きなサイズだったので、少し畏れを抱いていたのかもしれない。

いつもは無闇に魚を釣ろうとするくせに、今回だけは足早にその場を立ち去った。


9月末の禁漁まであと数日しかなかったが、イーハトーブの谷では産卵行動が本格化していた。

202509



# by rororon3rd | 2026-02-09 20:24 | トラウト釣行(東北地方) | Comments(0)