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大渓流の釣り

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その民宿にはもう4年ほど通っていた。

多い年は7回泊まったこともあった。年平均すれば2、3回逗留することが多いだろうか。

私は釣りでビジネスホテル以外に泊まる事は少ないのだが、そこの宿の雰囲気と豊富な日本酒の種類に魅了された先輩のおかげで何回も通っている。

この宿に泊まると大概フライフィッシングをしに来た客と逢うことになる。夕食はほとんど居酒屋のようなノリになっているので、そういった客たちとフライフィッシングのことを話したり、宿のオーナーから釣り場のことを教えて貰ったりしていた。

その中でも今回入った川は誰からも一番評価が高く、数が釣れたとか、大きな尺モノが釣れたと言う話を何度も聞いていた。

ただ、アクセスするダート道の路面があまり良くないため、普通の車だと上流の方まで入って行けず、核心地である上流域のポイントに入ることが難しかった。

今回も先輩の車で向かったのだが、先輩の車は普通のワゴン車であるため、入り口付近から奥に向かって、険しさを増して行く荒れた道を進むのは車を壊しかねないので、早々に乗り入れを諦めた。

目的のポイントから離れた下流の駐車スペースに停めて、徒歩で登ることにした。

上流ポイントの入渓地点まで4キロ超あって一時間ほど歩くことになる。

訪れたのは8月初め、真夏の真っ只中であった。普通なら8月の昼間に一時間も歩くような事はしないのだが、ここは高原の中の、さらに標高の高い流域でもあったため、なんとか歩くことができた。


午前11時頃、川に入った。坂道を登って来て火照った体に、川の水はかなり冷たく感じた。

冷たい水に触れたせいなのか、渓谷の大きさ、水量の多さに少し畏怖の気持ちが湧き上がった。

いつも釣りをしている川と比べて、雄大と言っていいほどの空間が広がっていた。

もう川のどこからでも魚が出てくるような雰囲気だった。

早速、キャストしてみるが、意に反して魚の反応はない。この付近でも人気ナンバーワンの川である。かなり叩かれているようであった。

分かり易いポイントからは魚が出なかった。ただ、フライがよく見えない肩の部分からは、魚の反応があった。

今回、私が釣った3匹のイワナは全て肩の部分から出た魚だった。肩の速い流れの中から釣るのは、もうフライフィッシングというより、テンカラ釣りのような感じだった。

揉まれるような流れの中から魚が出た。水流のために魚もこちらの姿が分からないので、鋭いあたりでフライを襲った。

このパターンでしか私には釣れなかった。

ただ、不思議なことに先輩の釣りを見ていると、先輩は淵の中ほどないし、落ち込み近くで普通に釣っていた。

何が違うのか、分からなかったが、そういった分かり易い箇所からも魚が出るようであった。

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3時間ほど釣り上がって、釣りを終えることにした。

このポイントはかなり上流まで昇って行くことはできるのだが、林道等はなく、上がったら上がった分だけ川通しで戻らなければならない。

既に長距離を歩いていた私にとって体力的にしんどかったので、ちょうど時合か、と言うような時刻だったのだが、先輩が釣ったイワナを最後に釣りを終えることにした。


今まで何度も行こうとして行けなかった流域まで釣り上がってみて、その圧倒的な景観と魚が居そうな雰囲気に魅了された。

なるほど、誰しもが、ここは凄い、と言いたくなるのがよくわかる。

まさに、渓流の真髄を体現したような釣り場だった。(但し、釣果は除く。)

(202508)



by rororon3rd | 2025-09-15 21:09 | トラウト釣行(東北地方) | Comments(0)


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