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村の中心を流れる川

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その川は村の中心を貫いて流れていた。

中心には今も小学校があった。ここ十年ほどは大概、山村に行くと、小(中)学校は廃校になっており、跡地は道の駅になっていたり、地域のコミュニティーセンター等として、別の目的に使われていることが多い。だが、この小学校はまだ小学校として存続していた。

秋の陽は短くなっていた。

午後、私は小学校の脇を流れる川の上流を釣るべく、川沿いの林道に車を走らせていた。小学校を過ぎると、ほどなく舗装が切れダートになった。

ダート道の曲がり角はトラック等の大型車両の轍で、泥水が溜まった池のようになっていた。しかし、直線部分は概ね整備されていた。

地図で見ると思いの外かなり奥の方まで続いていた。ただ、地図では道が続いていたとしても、実際は途中で通行不能になってることが多いのが、この種の道ではよくある。

通行止めになっていないか、用心しながら上がっていくと、一部道が狭まっている所があった。このようなサインがあると、それ以上先に進むと過酷な状況に陥ることが、これまで何度もあった。

危険と判断して近くにあった空き地に車を停めて、支度をして当初考えていたより下流から釣り上がることにした。


道から2メートル下を流れる川に降りるとジンクリアな水が流れていた。

去年もこの川を訪れたことがあるのだが、その時は梅雨で水量が増えてやや濁っていたが、それでもやはり少し突き通った水だった。実際に平水に来ると、紀伊半島の山岳渓流を流れている水と同じような極めて透明度の高い水だった。

釣りを開始したがなかなか魚の反応が出ない。

今回は少し長めの7.6フィートのフライロットを使ったのだが、思いっきり振れる場所は限られていた。思った以上にキャストスペースが取れない。

結局、短い距離で釣ることになった。ショートレンジで毛鉤をキャストすると、ジンクリアな水域では極端に魚が神経質になる。今回も偶に魚の反応があっても、飛沫を上げるだけで鉤には喰いつかない。今回も苦戦を覚悟した。


半時間後、やっと流れの中からヤマメのチビが釣れた。20センチ足らずの小さなヤマメだった。

その5分後にも、時間を置かずに再びヤマメが釣れた。少し高低のある瀬で、特段その場所が良いと言う理由はなかったのだが、活性の高い魚がたまたま入っていたのだろう。二尾連続で釣れたのでこの調子で良くなっていくのかな、と期待していたが、やはり人里近くの流れはそんなに甘くない。

1時間ほど釣れない時間が続いた。

川の流れは広くなったり、狭くなったり、浅くなったり、淵があったり、高低差のある如何にも渓流っぽい流れがあったり、と変化に飛んでいた。

ただ、どのポイントも魚の反応は渋い。


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午後3時を廻り、太陽は山の稜線に隠れた。途端に暗さが増した。

道側の崖に滑り落ちそうな大岩が載っているポイントがあった。柱状の岩が斜めになっているので、本当に滑り落ちて来そうな地形をしていた。

その直下のポイントでエルクヘアに小さなあたりが出た。水面に出て来ずに、水中で魚が腹を返したのが見えた。

合わせを入れると、予想以上に重い手応えが伝わった。慎重に上げると優に25センチはある良い型のヤマメだった。

少し鼻が曲がり、産卵を控えたような濃い体色をしていた。

たった三尾しか釣ることは出来なかったが、このヤマメを手にしたことで、かなり報われた。

おそらくここは集落からも近く、地元の釣り人からすれば、日常的に散歩がてらに釣りに来られるような場所なのかもしれない。

それでも型の良い魚が9月まで残っているのだ。この辺りの川の豊かさを感じた。

川に棲むヤマメが繁栄しているように、山里にも子供の歓声がいつまでもあり続けてほしい。

202509



by rororon3rd | 2026-01-26 21:14 | トラウト釣行(東北地方) | Comments(1)
Commented by ItoMizuki777 at 2026-02-03 18:17
わあ、この村の川は本当に美しいですね!🏞️
文章を読んでいると、澄み切った水や山里の静かで生き生きとした雰囲気が伝わってきます。特にその小さなヤマメ、釣れたら本当に嬉しいでしょうね!

ちなみに、普段釣りをするときは、静かで一人になれる渓流のほうが好きですか?それとも、たまには少し賑やかな場所にも行かれますか?


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