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大きなツキノワグマ

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近年は熊の問題が大きな話題になることが非常に多いが、釣りにおいてもこの問題は無視できない。

熊の出没が釣り人の行動に大きな影響を与えている。当然ながらその中でも渓流釣りはその最たるもので、熊との遭遇による事故等がニュースに上がる。

私は15年位渓流釣りをしているが、熊と遭遇した事は二回しかない。日本に住む野生動物の中でも熊の生息数は非常に少なく、また用心深いため、人前に姿を現す事は、かつては稀だったのだが、近年習性等の変化によって、町場においても熊が出没して人が襲われるような時代になっている。

渓流釣りをしている釣り人はかなり熊に関しては気にしており、今まで本州の渓流では見ることがなかった熊スプレーを携帯している姿も散見するようになった。

私自身と言えば、北海道で釣るときは熊対策に熊スプレーは必ず携帯しているのだが、本州での釣りにおいては熊スプレーを持ち出したことがなかった。

ツキノワグマはヒグマに比べて体が小さく、また人間への傷害行動も少ないと思っていたからだ。しかし、近年のデータによれば、ツキノワグマの人間への攻撃は増えており、件数だけで見るとヒグマを凌ぐような数になってきている。

だが、私が実際に見た事のあるツキノワグマは子犬程度の子グマだったので、個人的な感覚としては全く危機感を感じていなかった。しかし、今回の釣行で私のその考え方は根底から覆された。


今までも釣りに入っていた馴染みの支流に今年何度目かの釣行をした。

今回は以前に釣った場所よりさらに上流に向かった。予想に反して、上流域はその下流より平坦な地形になっていた。

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半時間ほど釣り上がると平地の中をゆっくり流れている場所が続いた。以前、出会った林業の方が言っていた廃村になった集落跡だろう。

今は樹木がかなり生茂り、建物も残っていなかった。住民が居なくなってから50年近く経っているのかもしれない。ただ、住居を囲んでいた石垣が少し残っており、川にかかる橋付近は往時の集落の雰囲気を残していた。

上流域に来ているのに全く雰囲気がないので、少し落胆しながら釣りを続けた。

魚はそれなりにいるようだが、浅い水深と開けた場所のせいで、魚の警戒心は強く、なかなか鉤にかかってくる魚はいなかった。

枝流との出合いで本流側を進み、そろそろ渓流らしくなってくるか、と期待したところで、建物一軒建っていた。

住宅のような建物だったが、この辺りは電線も引かれていない。今は作業屋として残っているのかもしれない。それほど荒廃していない建物だったので、近年までは間違いなく人が使っていたものと思われた。

山中で思わぬモノを見たので、これでさらに期待度は下がった。

だが、そんな家の前の小さな淵でも、イワナは反応した。


ポツポツとイワナを拾い釣りしながら、さらに上流を目指す。

建物を過ぎて100メートルほど上った所でだった。倒木越しにポイントにフライを投げ込んでいると、前触れもなしに50メートル先にツキノワグマが現れた。今まで見たことがないほど大きなツキノワグマだった。

体長はシェパード位だろうか。体重は100キロをゆうに超えているだろう。

背中にゾワッとしたものが走って、思わず逃げ出しそうになったが、背中を見せるのは危険なので熊の方に向き直った。

熊は私を一顧だにせず、そのまま沢を渡って、右岸の山の中に消えて行った。

慌てる事もなく、ゆったりとした足取りだった。

今回の釣りはここで辞めることにした。

その場で左岸の崖を這い上がって、林道に戻ると手が少し震えていた。

人間一人が頑張ったところでどうにかすることができる相手ではなかった。

自分の認識の甘さを痛感し、今後は本州の渓流釣りであっても熊スプレーを携帯しなければならない、と強く決意した。

202509



by rororon3rd | 2026-03-02 21:02 | トラウト釣行(東北地方) | Comments(0)


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